想田和弘監督観 察映画第7弾 映画『港町』ドキュメンタリーの驚天動地 4/5 (1)

映画『港町』予告動画やあらすじストーリーネタバレ(評判・評価・レビュー・キャスト)



比類なき映画体験。
ドキュメンタリーの驚天動地。

【イントロダクション】
美しく穏やかな内海。小さな海辺の町に漂う、孤独と優しさ。やがて失われてゆくかもしれない、豊かな土地の文化や共同体のかたち。そこで暮らす人々。静かに語られる彼らの言葉は、町そのもののモノローグにも、ある時代のエピローグにも聞こえる。そして、その瞬間は、不意に訪れる……。

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監督は、イタリア、カナダ、中国などでレトロスペクティブが組まれるなど、国内外で高い評価を受ける映画作家・想田和弘。2018年のベルリン国際映画祭への正式招待が早々と決まった本作は、作品を重ねるごとに進化を続ける「観察映画」の新境地であり、同時に、現代映画のひとつの到達点である。しかし、我々は、この映画体験の美しさと比類のなさとを語る言葉を未だもてずにいる。あなたは、どうか?

【作品紹介】
『港町』は峻厳で、センチメンタリズムからはほど遠いドラマだが、情感の線に沿って描かれている。想田はモノクロームの中に距離とバランス、差異のしるしや一貫した形式のまとまりを獲得するための構造を探し求める。つまりこれが別のレベルのビジョン――それは今作ではおそらくこれまでにないほど形を変えつつ、観察行為の中に入り込んでいる――を示唆する方法であり、イメージの熱いマグマのモンタージュの結果が、映画という洗練された形式となってコンパクトな平面に映し出されるのだ。

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峻厳で苦しさに満ちたドラマは、突然、一連の寓意的な啓示へと振れもする。それは映画の始めから終わりまで現れて、想田のまなざしを動かす驚きや感嘆を暗示的に露わにする。ワイちゃんが網を巻き上げるシーンでは、そこに絡まったさまざまな魚が夜の闇に輝いてのたうち、その虹色のうろこにランプの光が反射する。また、残酷でいくぶんグラン・ギニョール劇ふうの、魚屋の奥での出荷準備のシーンでは、死の分類を行うかのように、想田が小さな命の断末魔の苦しみをつぶさに記録する。

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さらに、野良猫の食事のシーンでは、猫たちがふわふわした体をよじって、えさの周りに次々と群がる。動物たちのこうしたファンタスマゴリーや、映画の他の多くの場面では、ショットが線と動き、輪郭と光の緊張関係で埋めつくされる。その中には希薄で寓話めいた雰囲気があり、像がくっきりしつつも暗示的な、絵画のような位相をエピソードに添えている。

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『港町』は峻厳だが、軽やかでまた重層的なドラマだ――牛窓の町が瀬戸内の海と重なるのと同じように――流れ、過ぎて行きながらも、やって来ない終点の上で動かず止まっているかのような、矛盾した時間が重なっている。文字通りの意味で終末的な時間だ。つまり、世界が終わりの先で動きを止め、姿を露わにするかのような時間、象徴や寓意が存在することをやめ、霊性や祭祀的なものにとってかわる時間だ。

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おそらく、想田が引用する能楽において起きるのと同じように、視線の先にある遠い次元を描写するための表現なのだろう。そうであれば、始まりが入り口なら、終わりは出口なのだ。もしも、日常の何気ない現実の向こうの、別の次元への入り口を幕開けが示しているとすれば、終幕は――何度も繰り返すが、それは結びではなく、また別の場所で、次の映画で引き継がれる探求の続きへの送り出し、打ち返しである――異次元への跳躍、状態の変化を告げている。カラーへの帰還こそがそれだ。

■ 想田和弘(そうだ・かずひろ)
1970 年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。93 年からニューヨーク在住。映画作家。台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。監督作品に『選挙』(07)、『精神』(08)、『Peace』(10)、『演劇1』(12)、『演劇2』(12)、『選挙2』(13)、『牡蠣工場』(15) があり、国際映画祭などでの受賞多数。著書に「精神病とモザイク」(中央法規出版)、「なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか」(講談社現代新書)、「演劇VS 映画」(岩波書店)、「日本人は民主主義を捨てたがっているのか?」(岩波ブックレット)、「熱狂なきファシズム」(河出書房新社)、「カメラを持て、町へ出よう」(集英社インターナショナル)、「観察する男」(ミシマ社)など。本作に続き、初めてアメリカを舞台にして撮った『ザ・ビッグハウス THE BIG HOUSE』(観察映画第8弾)が2018 年6 月公開予定。その制作の舞台裏を記録した単行本「〈アメリカ〉を撮る(仮)」(岩波書店)も刊行予定。

■ KAYOチェック(評判やネタバレ)

■ 映画 港町 予告編動画



監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作:柏木規与子
製作会社:Laboratory X, Inc
配給:東風+gnome
2018年
日本・米国
122分
モノクローム
DCP
英題:Inland Sea

■ コピーライト
©Laboratory X, Inc

■ 公式ホームページ
www.minatomachi-film.com

■ 公開表記
2018年4月より、シアター・イメージフォーラム他、全国順次ロードショー

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